AI(人工知能)技術は現代社会において急速に発展し、産業界でも大きな影響を与えています。しかし、AI開発に取り組む際、どのプログラミング言語を選ぶべきか迷うことはありませんか?この記事では、AI開発におすすめのプログラミング言語7選を紹介し、それぞれの言語の特徴や選ぶ際のポイント、学べるプログラミングスクールを解説します。記事を読むことで、AI開発に適した言語を見つけ、自分のスキルアップやキャリア形成に役立てることができます。ぜひ、参考にしてみてください。
AI(人工知能)とは?
AI(人工知能)は、人間の知能を模倣し、学習や判断、問題解決などの知的なタスクをコンピュータが実行できるようにする技術のことです。これにより、コンピュータは多くのデータをインプットし、自ら理解、認識、推理などを行うことができます。
AIと機械学習
AI(人工知能)開発に欠かせない要素が、機械学習です。機械学習は、コンピュータが人間のように学習し、データから知識を獲得する技術です。学習データを使ってモデルを構築し、未知のデータに対しても適切な予測や判断ができるようになります。
ディープラーニングとは?
ディープラーニングは、機械学習の一種で、特にニューラルネットワークを用いた手法です。ディープラーニングでは、多層のニューラルネットワークを用いて複雑なデータを解析し、より高度な判断や予測が可能になります。画像認識や自然言語処理、音声認識など、多くの分野で活用されています。
ニューラルネットワークとは?
ニューラルネットワークは、人間の脳の神経回路を模倣した機械学習のアルゴリズムです。複数の入力値を受け取り、それらを加重した総和を計算し、活性化関数を通して出力を生成します。この構造を層状に重ねることで、複雑なデータを解析し、高度な判断や予測ができるようになります。
▼AIに関して詳しくはこちらをご参照ください。
AI開発におすすめのプログラミング言語7選
今学ぶべきおすすめ言語「Python」
PythonはAI開発において非常に人気があり、その理由はいくつかあります。
- ライブラリ・フレームワークが豊富: 機械学習やディープラーニングに特化したライブラリやフレームワークが多数存在します。TensorFlowやKeras、PyTorchなど、最新の技術を利用できます。
- 文法がわかりやすい(初心者の学習に向いている): Pythonの文法はシンプルで直感的であり、初心者でもすぐに理解できます。また、コードの可読性が高いため、複数人での開発がスムーズに行えます。
- 企業での導入実績が多い: 大手企業やスタートアップを含め、多くの企業でPythonが導入されており、求人市場でも需要が高いです。
- より精度の高いプロンプトエンジニアリングの手法: 最新の研究成果や技術がPythonで実装されることが多いため、研究成果を活用しやすいです。
- ドキュメントなど学習のためのリソースが多い: Pythonには日本語を含む多くのドキュメントやチュートリアルが存在し、学習しやすい環境が整っています。
これらの理由から、PythonはAI開発においておすすめのプログラミング言語と言えます。初心者から上級者まで幅広く学べ、AI開発に必要なライブラリやフレームワークが充実しているため、効率的に開発を進めることができます。
C++
C++は、C言語をベースにオブジェクト指向を追加した拡張言語です。C言語と互換性があり、効率化を図ることができます。AI開発において、実行速度や細かい制御が重要な場面で活躍する言語です。
C++の特徴として、処理速度が非常に速いことが挙げられます。機械語に近い実行ファイルであるため、他の言語と比べて高速な処理が可能です。ビッグデータやAI学習など、大規模なデータ処理を扱う場合には、処理速度が業務生産性に大きな影響を与えるため、C++の導入は非常に有益です。
ただし、C++の習得難易度は高く、初心者には厳しい言語とされています。しかし、C++を習得することで、コンピュータの性能を最大限に引き出すことができるため、中級者以上のエンジニアにはオススメの言語です。
また、C++は、Pythonなどのスクリプト言語と組み合わせることで、より幅広い開発が可能になります。このため、Pythonを習得しているエンジニアにとっては、C++も学ぶことでさらに汎用性のあるスキルを身に付けることができます。
C++は、AI開発だけでなく、Webアプリやスマホアプリの開発にも利用されています。AIプログラムを一から作成したい方や、速度や性能を重視する開発に携わりたい方には、C++がおすすめです。
R
R言語は、データ分析や統計解析に特化したプログラミング言語です。特に統計学者や研究者に支持されており、機械学習やAI開発にも活用されています。
R言語のメリットとして、オープンソースで無料で利用できる点が挙げられます。また、統計解析に特化しているため、高性能な解析が可能です。さらに、Pythonと同様に機械学習のためのパッケージが豊富で、TensorflowやMXNet、Kerasなどの有名なフレームワークもサポートされています。
ただし、R言語は汎用性が低く、専門知識が必要になることがデメリットです。また、Pythonに比べて動作速度が遅いため、高速な処理が求められる場合は不向きです。しかし、データ解析や統計に特化したシステムの開発には非常に役立ちます。
R言語は、特に統計解析を重視するAI開発者や、研究者におすすめです。また、すでにR言語で統計解析を行っている学生も、そのままAI開発にチャレンジできます。
最後に、学習コストについてですが、R言語は難易度が高めです。しかし、日本語でのナレッジが豊富で、学習リソースも多く存在しています。もし統計解析やデータ解析に興味があるなら、R言語の習得を検討してみてください。
Julia
Juliaは、技術計算に特化した新しいプログラミング言語で、2012年にオープンソースとして公開されました。ソースコードがシンプルで扱いやすく、C言語に次いで実行速度が速いことが特徴です。また、PythonやR言語のライブラリもJuliaから利用することができます。
- 高速処理が可能 Juliaは、実行速度がPythonの倍以上あり、技術計算や数値解析が得意です。そのため、AI開発において処理速度を重視する方におすすめです。
- PythonやR言語のライブラリが利用可能 Juliaは、PythonやR言語のパッケージを利用できるため、これらの言語で蓄積された知識や技術を活用できます。これにより、開発効率が高まります。
- 習得難易度が低い 文法構造がシンプルで、Pythonと似ているため、すでにPythonを学習している方は短期間で習得できます。また、初心者にも比較的取り組みやすい言語です。
- 将来性がある 近年、Juliaの人気が高まっており、今後AI開発のプログラミング言語の主流になる可能性があります。ただし、日本ではまだユーザーが少なく、参考資料が豊富ではありません。英語で情報収集できる方や他言語経験者に向いています。
Juliaは、高速処理が可能で、他の言語のライブラリも利用できることから、AI開発において非常に有望な言語です。しかし、まだ参考資料が少ないため、他言語の知識がある方や英語で情報収集が可能な方に特におすすめです。
JavaScript
JavaScriptは、Webアプリ開発業界で広く知られているフロントエンド言語で、汎用性が高く、学習難易度も低いです。もともとはWebサイトに動作を付けるために開発された言語で、Web・携帯アプリ開発やゲーム開発などに主に使われています。
しかし、JavaScriptはAI開発の分野でも活躍しています。機械学習用のライブラリがいくつか公開されており、例えばディープラーニングのためのConventJSがあります。これによって効率的に開発ができます。
JavaScriptのAI分野での利点は、既存のWebシステムとの親和性が高く、Web知識をベースとしたAI開発を行う際に発展性があることです。また、Keras.jsやdeeplearn.js、TensorFlow.jsなどのライブラリが公開されており、WebGL技術を利用してブラウザからGPUを使うことが可能です。これらのライブラリを使えば、学習済みの機械学習モデルをブラウザで手軽に使うことができます。
Web系の知識を既に持っている方にとって、JavaScriptを使ったAI開発は非常に魅力的です。ただし、Webブラウザーで多くの人に使ってもらうAIを作る場合、必要なハードウェアリソースが増えるというデメリットも考慮しなければなりません。
JavaScriptは多くのWebブラウザーで対応しており、利用者の環境への依存度が低いというメリットがありますが、JavaScriptに非対応のブラウザーを利用している場合は、使うことができません。それでも、JavaScriptはAI開発においても有望なプログラミング言語の一つと言えるでしょう。
Java
Javaは世界中で非常に人気のあるプログラミング言語で、その汎用性が魅力です。Javaは多くのデバイスやプラットフォームで動作し、企業や開発者に幅広く採用されています。AI開発にもJavaを使用することができますが、他の言語と比較するとライブラリが少なく、開発に時間がかかる場合があります。
Javaのメリットは、処理速度がC言語に次ぐ速さであり、実務での需要が高いことです。また、JavaはJVM(Java仮想マシン)上で動作するため、異なるプラットフォーム間での互換性が高くなっています。そのため、様々なデバイス上で利用できるAIアプリケーションの開発が可能です。
しかし、Javaにはデメリットも存在します。Java仮想マシン(JVM)上で動作するため、アプリケーションを動かすだけでなく、JVMを展開するためにもハードウェアリソースが必要になります。この点が、AI開発言語としてのマイナスポイントとなります。
Javaを使ったAI開発には、Deeplearning4jやJava-ML(Java Machine Learning Library)のようなライブラリが利用できます。これらのライブラリは、PythonのAIライブラリと比較すると物足りなさを感じるかもしれませんが、Javaを既に使っている、または別の目的で勉強する必要がある人には、選択肢の一つとして覚えておくことが重要です。
JavaでのAI開発は、単独で行うよりも、他の目的を持っている場合や既存のJavaシステムにAI技術を組み込む際に適しています。Javaを使ったAI開発に興味がある場合は、まずはDeeplearning4jやJava-MLなどのライブラリを試してみると良いでしょう。
AI開発プログラミング言語を選ぶ際のポイント
学習コスト
AI開発プログラミング言語を選ぶ際の重要なポイントのひとつが、学習コストの低さです。学習コストとは、習得にかかる時間や労力、費用のことを指します。低い学習コストの言語を選ぶことで、効率的にスキルを身につけることが可能になります。
学習コストが低い言語は、構文がシンプルで可読性が高く、扱いやすいことが特徴です。例えば、Pythonは文法がわかりやすく初心者にも学びやすい言語とされています。また、エラーが発生した際に、対処方法がインターネット上で容易に見つかることも学習コストを下げるポイントとなります。
学習コストが高い言語を選んでしまうと、実際に動かせるまでに時間がかかるだけでなく、モチベーションを維持することが難しくなります。そのため、企業業務で使用するAIプログラミング言語は、メジャーで分かりやすい構文の言語を選ぶことが望ましいです。
また、開発したいAIがその言語で作りやすいかどうかも重要です。作りやすさは、フレームワークやライブラリの多さ、習得の難しさから判断できます。開発コミュニティが活発な言語を学ぶことで、困ったときに助けを求めやすくなり、エラー解決もスムーズに進められます。
学習コストの低さを考慮し、自分に合ったプログラミング言語を選ぶことで、AI開発を効率的に進めることができるでしょう。
フレームワークの豊富さ
AI開発において、プログラミング言語を選ぶ際に重要な要素の一つが、フレームワークの豊富さです。フレームワークとは、プログラミング言語を使って開発する際に、あらかじめ用意されている必要な機能を提供するツールのことを指します。フレームワークが充実している言語を選ぶことで、開発効率や品質が向上し、より短時間でAIプロジェクトを進めることができます。
対応言語が多いフレームワークを選ぶことがおすすめです。なぜなら、使いたいフレームワークに対応していないプログラミング言語を選んでしまうと、そのフレームワークを利用することができず、開発が難しくなることがあるからです(①)。また、AIプログラミングに対応しているオープンソースやライブラリの数も重要です。人気のある言語ほど、オープンソースが豊富になり、開発が効率的に進むことが期待できます(②)。
習得難易度も考慮することが重要です。プログラミング経験が浅い場合、フレームワークやライブラリが充実している言語を選ぶと、開発がスムーズに進むでしょう(③)。言語を習得するのが難しいと、開発に取り掛かる前に挫折してしまうことがあるため、難易度が低い言語がおすすめです。
以上の点を考慮し、フレームワークの豊富さや対応言語数、習得難易度などを総合的に判断して、AI開発に適したプログラミング言語を選びましょう。
教材の豊富さ
AI開発プログラミング言語を学ぶ際には、教材の豊富さも重要なポイントです。教材が多いほど、学習者が自分に合った学習方法や資料を見つけやすくなります。また、教材が多い言語は、コミュニティが活発であることが多く、学習中に困ったときに助け合いが期待できます。
教材は、書籍やオンライン学習プラットフォーム(例:Progate、Udemy)が主ですが、記事やチュートリアルなども参考になります。書籍の教材は、書店や図書館で手に入れることができます。オンライン学習プラットフォームでは、動画で学習ができるので、書籍よりも直感的に理解できることがあります。
学習しようと思っている言語でどのような教材が人気なのか調べ、書店などで覗いてみるのも良い方法です。また、オンライン学習プラットフォームで評価が高いコースや、その言語の専門家が推奨する教材を選ぶことで、効率的に学習を進めることができます。
将来性
AI開発プログラミング言語を選ぶ際には、その言語の将来性も重要なポイントです。将来性がある言語を学ぶことで、長期的にそのスキルが活かせる可能性が高くなります。例えば、教材が豊富で人気がある言語でも、上位互換の言語が登場して使われなくなってしまうと、習得したスキルが活かせなくなってしまいます。
現状人気のある言語であれば、少なくとも5年程度はその言語が続くと考えられます。オープンソースやライブラリが充実している言語は、その魅力が長く続くことが多いです。また、需要がある言語であれば、仕事の案件も取りやすくなります。言語によっては、AI開発だけでなく、Webアプリ開発など、幅広い分野で活用されているものもあります。
将来性を判断する際には、業界動向や技術の進歩をチェックすることが大切です。また、企業での導入実績や、その言語が得意とする分野などを調べることで、より適切な判断ができるでしょう。将来性を見極めることで、長期的な視点でスキルが活かせる言語を選ぶことができます。
AI開発のためのフレームワーク
AI開発には、フレームワークが欠かせません。フレームワークは、AIのモデルやアルゴリズムを効率的に構築・学習させるためのツールです。ここでは、AI開発でよく使われるTensorFlowとKerasについて解説します。
TensorFlow
TensorFlowは、Googleが開発したオープンソースの機械学習ライブラリです。機械学習やディープニューラルネットワークの研究で幅広く利用されています。また、音声認識や画像認識、言語翻訳など多岐にわたる用途があります。
特徴
- C++とPythonで記述可能
- 即時デバッグ機能を備えた使いやすいツール
- GPUだけでなく、複数のCPUでも実行可能で、学習と推論の高速化が可能
利用できるプログラム言語
- Python
- C++
- Java
- Go
メリット・デメリット
メリット:
- 利用者が多く、情報が簡単に手に入る
- GPUの利用が簡単
デメリット:
- 高機能ゆえに難解で慣れが必要
- 高速処理にはハードウェアの性能も求められる
Keras
Kerasは、元々Francois Chollet氏によって開発されたニューラルネットワークライブラリです。現在はTensorFlowに統合され、tf.kerasとして利用されています。
特徴
- 構築が簡単で、初心者にも分かりやすい
- TensorFlowやMicrosoft Cognitive Toolkit、Theanoなどの他のフレームワークとも互換性がある
- プロトタイプ作成時に便利
利用できるプログラム言語
- Python
メリット・デメリット
メリット:
- 利用者が多く、情報が簡単に手に入る
- プログラミング初心者でも扱いやすい
デメリット:
- コードから処理内容を理解できない(隠蔽されている)
- 本格的なAIプログラミングの学習には向かない
TensorFlowとKerasを組み合わせて利用することで、初心者からでも取り組みやすく、学習を続けやすくなります。これにより、AI開発の幅を広げることができます。
PyTorch
PyTorchは、Facebookが開発し提供しているAIフレームワークです。比較的新しいフレームワークでありながら、急速に人気を集めています。その特徴や利用できるプログラム言語、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
特徴
PyTorchは2017年に公開され、機械学習ライブラリ「Torch」をベースにして開発されました。処理の実行方式には、「Define and run」と「Define by run」がありますが、PyTorchでは「Define by run」が採用されています。この方式では途中の処理状態を確認しやすく、デバッグが容易であり、分岐などの処理内容を変更することができます。
利用できるプログラム言語
PyTorchは、Pythonのみで利用できます。元々の「Torch」ライブラリをPython向けに改良したものがPyTorchとなっています。
メリット・デメリット
PyTorchの主なメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
- Define by run方式を採用しているため、直感的にコードを書くことができます
- 利用者が急増しており、参考文献や資料が豊富にあります
- 動的計算グラフにより、途中の処理状態を確認しやすくデバッグが容易です
デメリット
- メモリ不足に陥りやすい場合があります
- 最適化が難しいことがあるため、経験が浅い開発者には厳しい場面があるかもしれません
以上がPyTorchの特徴、利用できるプログラム言語、メリット・デメリットです。ディープラーニングの分野で活躍するには、このようなフレームワークを理解し活用することが重要です。
MXnet
特徴
MXnetは、Amazonが深層学習で採用しているAIのフレームワークです。柔軟性と拡張性を兼ね備えており、さまざまなディープラーニングモデルをサポートしています。知名度はTensorflowやPyTorchと比べると低いですが、人気のあるフレームワークとなっています。MXnetは膨大な計算リソースを使うディープラーニングの処理を、コンピュータリソースを追加するだけで、より精度の高いモデルを短時間で学習できるようにすることが可能です。
利用できるプログラム言語
MXnetは、対応するプログラミング言語が豊富です。利用できるプログラミング言語には、Python、C++、Scala、R、Matlab、Juliaなどがあります。複数の言語に対応しているほか、Windows・MacOS・Ubuntuなど、さまざまなプラットフォームにも対応しているため、可搬性も高いフレームワークと言えます。
メリット・デメリット
MXnetのメリットとしては、処理が高速であり、対応言語が豊富であることが挙げられます。デメリットとしては、参考書籍などの情報が少ないことです。MXnetは拡張性が高く、処理も高速であるため、画像認識や自然言語処理・レコメンド生成など幅広い用途で利用されています。コードもTensorflowのようにも、Chainerのようにも書けるフレキシブルさを持ったフレームワークです。AIプログラミングに慣れた方であれば、非常に強力なフレームワークであると言えますが、これからAIプログラミングを学習する初心者にとっては、情報があまり多くないため、難しいと感じてしまうかもしれません。
Chainer
特徴
Chainerは、日本の企業であるPreferred Networks(PFN)が開発しているPythonベースのディープラーニング向けのフレームワークです。ニューラルネットワークを使用した学習を行うための機能がオープンソースで提供されています。Chainerは、国内産であるため、日本語のユーザーグループがあり、AIに関するさまざまな最新トピックを日本語で情報収集できます。また、ChainerもPyTorchと同じく「Define by run」を採用しており、高速な処理ができる点が特徴です。
利用できるプログラム言語
Chainerは、Pythonのフレームワークとして提供されているため、利用できるプログラミング言語はPythonのみです。先に紹介したPyTorchとChainerは、記述方式がとても似ています。Chainerを利用していた方が、PyTorchに乗り換える際には、違和感なくスムーズに乗り換えられるでしょう。
メリット・デメリット
Chainerのメリットとしては、「Define by run」を採用している点、国産なので日本語情報が豊富であること、直感的にコードを書くことができることが挙げられます。デメリットとしては、似ているPyTorchの方に乗り換える人が多いことや、海外ではほとんど利用されていないことが挙げられます。そのため、国際的なプロジェクトに参加する際には、他のフレームワークの知識が必要になることがあります。
Pythonのパッケージ
PythonでAI開発を行う際には、いくつかの便利なパッケージを利用することができます。ここでは、特に有用な3つのパッケージを紹介します。
BeautifulSoup
BeautifulSoupは、HTMLやXMLの解析を容易に行うことができるPythonのパッケージです。ウェブページからデータを取得し、それをAIアプリケーションに利用する際に非常に役立ちます。例えば、ウェブサイトから商品の価格やレビューを収集し、分析するAIシステムを作成する場合に使用できます。
Requests
Requestsは、HTTPリクエストを簡単に送信できるPythonのパッケージです。ウェブページの内容を取得する際には、このRequestsを利用してHTTPリクエストを送信し、レスポンスを受け取ります。その後、BeautifulSoupなどのパッケージを用いてデータの解析や整形を行います。
Selenium
Seleniumは、ウェブブラウザを操作するためのPythonのパッケージです。ウェブアプリケーションのテストや、動的なウェブページからデータを取得する際に便利です。JavaScriptを使用したウェブページでは、Requestsだけではデータの取得が難しいことがありますが、Seleniumを使用することで、ブラウザ上での操作を自動化し、データを取得できます。
これらのパッケージは、PythonでAI開発を行う際に大変役立つツールです。データ収集や解析が重要なAI開発において、これらのパッケージを駆使することで、効率的に開発を進めることができます。
AI開発が学べるおすすめプログラミングスクール
プログラム言語以外でAI開発に必要な知識
AI開発にはプログラミング言語だけではなく、さまざまな知識が必要です。以下では、AI開発で役立つその他の知識を紹介します。
数学知識
AI開発には大学受験レベルの数学知識が求められます。具体的には、微分・積分、線形代数、確率・統計などの知識が重要です。これらの知識は、AIアルゴリズムの多くに計算式が使われており、アルゴリズムの理解や開発に欠かせません。
機械学習理論
AI開発では、機械学習理論の知識も重要です。機械学習は、AIの基本的な技術であり、データをもとに自動的に学習して性能を向上させる技術です。機械学習理論を理解することで、より効果的なAI開発が可能になります。
データ解析
AI開発では、データ解析の知識も重要です。データ解析は、データから有益な情報やパターンを見つけ出すプロセスです。AI開発では、大量のデータを扱うことが多いため、データ解析のスキルが求められます。
フレームワーク
AI開発においては、フレームワークの知識も必要です。フレームワークとは、プログラムの雛形や枠組みであり、システム開発の効率を上げることができます。各プログラミング言語には、利用できるフレームワークが異なるため、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。
コミュニケーション能力
AI開発はチームで行われることが多いため、コミュニケーション能力も求められます。他の開発者や関連部門と円滑にコミュニケーションをとることで、効率的な開発が可能になります。
これらの知識やスキルは、AI開発を行う上で不可欠です。プログラミング言語だけでなく、これらの知識も習得しておくことで、より効果的で高品質なAI開発が可能になります。学ぶことが多いかもしれませんが、それぞれの分野を少しずつ勉強し、自分のスキルセットを充実させていくことが重要です。
ドメイン知識
AI開発において、アプリケーションの対象となるドメインに関する知識も重要です。適切なドメイン知識を持っていることで、具体的な問題に対して効果的な解決策を提案し、AIの性能を最大限引き出すことができます。
エンジニアリング知識
AI開発では、ソフトウェアエンジニアリングの知識も重要です。コード品質や開発効率を向上させるために、バージョン管理システム、コードレビュー、テスト技術、デバッグ方法などのエンジニアリング手法を理解しておくことが求められます。
倫理観
AI開発には、倫理観も重要です。AI技術は、潜在的に社会や個人に大きな影響を与える力を持っているため、開発者は技術の利用方法や制限について考慮する必要があります。倫理的な判断を行い、技術の適切な利用を促進することが重要です。
これらの知識やスキルは、総合的なAI開発能力を向上させるために必要です。各分野の知識をバランスよく習得し、実践的な経験を積むことで、AI開発者として成長していくことができます。
AIを用いたディープラーニングでできること
異変探知
ディープラーニングを活用することで、従来人間が認識しきれなかった異変を発見することができます。例えば、クレジットカードの不正利用や金融システムの異常など、過去のデータをもとにしてディープラーニングによってすばやく検知することが可能になります。ただし、大量のデータと高精度のシステムが必要となります。
自動運転技術や工場の製造現場でも、ディープラーニングによる異変探知が活用されています。自動運転では、道路に潜むリスクを検知し、人の意思や危機認識がなくても機械だけで交差点の一時停止や右折・左折をスムーズに行えるようになりつつあります。また、製造現場では、ディープラーニングによる異常検出が導入されることで生産性の向上や属人性の防止に貢献しています。
システムの最適化
ディープラーニングを利用したシステムの最適化も大きな強みです。膨大なデータとニューラルネットワークの構造を活用し、事象に応じて最適な数値を導き出すことが可能です。従来、人が経験や収集したデータをもとに最適値を算出していたものも、Pythonを用いたディープラーニングを活用することで、より緻密で的確な解が得られます。
システムの最適化は、災害時の防災計画策定や生産現場の需要と供給の最適化など、様々な分野で活用されています。例えば、スマートシティ構想では、人々の生活様式に合わせた都市づくりを目指して、これまで人間が発見できなかった改善ポイントや課題の発見が可能になっています。
音声処理
音声処理とは、音声データを解析・編集・変換する技術のことです。ディープラーニングを用いた音声処理では、音声認識や音声合成、話者特定などが可能になります。例えば、録音データの書き起こしや会議議事録の作成を効率化し、人材を重要な業務に専念させることができます。また、コールセンターでの顧客分析やスマートスピーカーの音声認識にも活用されています。
画像からのテキスト生成
画像からのテキスト生成とは、画像を解析し、それに関連するテキストを自動生成する技術です。ディープラーニングを用いた画像からのテキスト生成では、画像内の物体やシーンを認識し、それを自然言語で表現することができます。この技術は、視覚障害者向けの画像説明や、SNSでの画像投稿に自動キャプションを生成するなど、幅広い用途で活用されています。また、画像解析と組み合わせて、商品の自動タグ付けや画像検索の精度向上にも寄与しています。
自然言語処理
自然言語処理とは、人が日常的に使用する自然言語をコンピュータが処理する技術のことです。ディープラーニングを活用した自然言語処理では、構文や意味、文脈などの要素を解析し、より高度な処理が可能になります。具体的な活用例としては、会話の要約や自動翻訳、簡単な問い合わせへの対応などが挙げられます。
また、専門用語や方言も翻訳できるだけでなく、ニュアンスや文脈を汲み取った自然な翻訳も実現しています。さらに、スマートスピーカーや対話システムなどでも、音声認識と併せて自然言語処理が活用されています。
フェイク画像の自動生成
フェイク画像の自動生成とは、ディープラーニングを活用して、実在しない人物や物体のリアルな画像を生成する技術です。これは、Generative Adversarial Networks(GANs)というニューラルネットワークの一種を用いて実現されています。フェイク画像の自動生成技術は、映画やゲーム業界でのキャラクターデザインや背景画像の生成、広告やプロモーションでの画像生成など、様々な用途で活用されています。
しかし、フェイク画像生成技術の進化により、ディープフェイクと呼ばれる偽装画像・動画が増えることも懸念されています。そのため、フェイク画像の検出技術も同時に重要となり、ディープラーニングを活用したフェイク画像検出技術の研究も進められています。
予測
AIを用いたディープラーニング技術を活用することで、さまざまな分野における予測が可能となります。過去のデータや傾向を元にして、未来の出来事や変化を見通すことができます。
例えば、株価予測においては、ディープラーニングを使用して過去の株価のデータを分析し、傾向を読み取ることで、大体の株価の変動を予想することが出来ます。株価は日々変化し、情報が蓄積されていくので、今後さらに精度が上がっていくことが予想できます。また、他の機械学習に比べ、より多くのデータをより複雑な条件で分析できるディープラーニングでは、複数の要素に優先順位を付けながら判断するといった、込み入った予測をすることも可能です。
具体的な予測の例としては、おすすめの表示や需要予測、危険予測(自動運転の異常探知)などが挙げられます。これらは、ディープラーニングが得意とする分野であり、精度の高いシミュレーションが可能となります。これにより、ビジネスや社会全体の効率性が向上し、よりスマートな判断が可能になることが期待されています。
AI開発ができる職種
AI(人工知能)の開発に携わることができる職種はいくつか存在します。それぞれの職種ごとに求められるスキルや専門知識が異なりますので、以下に紹介していきます。
AIエンジニア
AIエンジニアは、AI(人工知能)の開発やデータ処理・解析を行います。プログラムを書くことはもちろんのこと、AIにデータを与えて学習させ解析する業務もあります。電気・電子回路や機械工学などハード面の知識や、数学的な知識が求められることが多いです。
機械学習エンジニア
機械学習エンジニアは、AIシステムの設計や構築、実装を行います。コンピュータにプログラムやデータを覚えさせ、様々な条件を与えて反復学習させることで、知能を向上させます。この職種では、プログラミングスキルや機械学習アルゴリズムの理解が重要となります。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、膨大なデータを集め、分析し、必要な情報を取り出したり読み解く職種です。また、AIを用いて新しい価値を提供する職種でもあります。プログラミングや分析力は必須で、数学的な知識や、分析結果から課題を解決するためのコンサルティング能力も求められます。
これらの職種は、AI開発に携わる上で重要な役割を担っており、それぞれが異なる専門知識やスキルを持って協力してプロジェクトを進めていくことが一般的です。AI開発を目指す際は、自分の興味や得意分野に合わせて適切な職種を選ぶことが大切です。
まとめ
本記事では、AI開発におすすめなプログラミング言語7選を紹介し、各言語の特徴や学べるプログラミングスクールについて解説しました。AI開発には、Python、C++、R、Julia、JavaScript、Javaなど、さまざまなプログラミング言語が活用されています。それぞれの言語には特徴があり、学習コストやフレームワークの豊富さ、教材の充実度、将来性などを考慮して選択することが重要です。
特に、Pythonはライブラリやフレームワークが豊富で、初心者にもわかりやすい文法を持ち、企業での導入実績が多いため、AI開発において最もおすすめの言語です。また、TensorFlowやKeras、PyTorchなどのフレームワークを利用することで、AI開発がより効率的に行えます。
プログラミングスクールを利用すれば、AI開発に適したプログラミング言語を学ぶことができます。
AI技術が学べるプログラミングスクールはAidemy(アイデミー)とキカガクです。
その他にもTechacademy(テックアカデミー)やレイズテック、DPro(旧DIVE INTO CODE)、DMM WEBCAMP 学習コースなど、さまざまなスクールが提供されているため、自分に合ったスクールを見つけて学んでみましょう。
AI開発は今後ますます重要性を増していくでしょう。適切なプログラミング言語を習得し、AI開発のスキルを身につけることで、未来のキャリアにつなげることができます。ぜひ、本記事を参考に、AI開発に挑戦してみてください。